北海道〜九州のブナ帯の林内や林縁などに生育する、樹高2〜3mの落葉低木。枝はよく分枝して細く灰白色で、新枝には細毛がある。
葉は対生し長さ2〜4cm。先端が尖った長楕円形で全縁。表面につやがなく、質は厚めで柔らかい。表面は無毛で、裏面には毛があるが、全体にあるものから中脈上にのみあるものまで変異が多い。
花期は5〜7月。枝先の細い円錐花序に、長さ7mmほどの白色の小花を密につける。花冠は筒状漏斗形で、先は4裂する。雄蕊は2本で花外に飛び出ている。萼は緑色小形で4裂し、裂片は皮針形で反り返る。
果実は直径約8mmの球形の核果で、晩秋には紫黒色に熟す。
名前の由来: 古くから、イボ取りの民間薬として使われていたことから、「イボトリノキ」と呼ばれていて、それが転訛したもの。深山に生えるイボタノキの意味。
※ 樹皮に寄生するイボタロウムシの雄が分泌する蝋を加熱・ろ過したものを、繰り返しイボに塗って取り除く。 |