北海道〜九州に分布する落葉つる性木本。つる植物だが、巻き付かず、上から垂れ下がるような形態をとるため、急傾斜地などに生育することが多い。若枝は赤褐色で軟毛があるが、成長すると紫黒色になる。
葉は互生。葉柄は長さ2〜5cm。葉身は長さ10cmくらいの卵円形で、細かい鋸歯がある。質は薄く、両面の脈上にかたい毛が散生する。裏面は若い時期にのみ脈や脈腋に淡褐色の軟毛がある。花期に、枝の上部にある葉の表面が白色になるが、やがて葉緑素が形成されて元の緑色に戻る。白葉は花が目立たないので、昆虫を誘引するサインとも言われる。
雌雄異株。花期は6〜7月、良い香りの白い花を咲かせる。雄花と両性花は径2cmほどの5弁花だが、雌花には5裂した緑色の萼はあるが花弁が無い。雄蕊は多数で葯は黄色。両性花の花柱は線形で多数ある。
果実は液果。長楕円形で先端が尖り、9〜10月に橙黄色に熟す。
名前の由来:疲れた時にマタタビの実を食すると「元気になって再び旅ができる」ことから。語源はアイヌ語のマタタムブで、「マタ」は「冬」、「タムブ」は「亀の甲羅」の意味で、変形した果実を表した呼び名であろう。
※ ネコ科の動物はマタタビの臭いに恍惚を感じ、強い反応を示す。
※ 虫こぶはタマバエの1種が、花や幼果に産卵することでできる。 |