本州〜九州の日当りのよい谷沿いに多く自生する、樹高10〜15mの落葉高木。樹皮は黒褐色。若木のうちは滑らかだが、生育すると筋状の模様がはいり、老木になると浅く縦に裂けて薄片上に剥げる。
葉は互生。葉身は長さ5〜10cmの長楕円形で表面は無毛。先端は長く尖り、縁には重鋸歯がある。側脈は20〜24対あって裏面に突出し、脈上に褐色の長毛が生える。葉柄は長さ8〜15mm、上面に毛がある。
花期は3〜4月。雌雄同株、葉の展開と同時に、雌雄別々の尾状花序を出す。雄花序は黄褐色で、前年枝に束生して下垂し、雄花は苞の下に1個ずつ付く。雄蕊は8〜10個。雌花序は緑色で、本年枝の先端について下垂する。雌花は苞の内側に2個ずつつく。花柱の上部は2裂する。
果穂は長さ5〜10cmで、種子を抱いた果苞(葉の変形)が、房状になったもの。果苞は長さ約2cmの狭卵形で淡緑色だが、秋に熟すと茶色になる。縁には粗くて鋭い鋸歯がある。堅果は果苞の基部につく。
名前の由来:シデの仲間の中で、果穂が最も大きいのでクマ。果実が垂れ下がる様子を、神事に使う紙垂(シデ)に例えたもの。別名:カタシデは、農具の柄などに用いられるほど材が堅いため。
※ 同属のイヌシデやサワシバなどと葉が似ているが、側脈の数や、葉の形、鋸歯の形などで区別する。 |