本州西部、四国の山地に自生し、幹は直立し15m以上になる落葉高木。樹皮は暗灰色で網目状の縦の割れ目が多い。若い枝は紫褐色で毛がある。
葉は2枚ずつ互生する「コクサギ型」葉序。葉身は長さ10〜20cmの広卵形で先は尖る。3本の葉脈が目立ち、葉裏では隆起して赤褐色の毛が密生する。葉はやや厚く、葉縁には浅く不揃で目立たない鋸歯がある。表面は濃緑色で無毛だが、乾くと赤褐色になる。葉柄は 2〜5cm。
花期は6〜7月。雌雄同株。枝先の集散花序に、淡緑色で直径約7mmの小さい5弁花を多数つける。花弁は5本の雄蕊を両側から包み込み、花弁の上部は反り返る。花床には毛が多く、雌蕊は1本で、中心にある花柱はよく目立つ。
果柄は花後に膨らみ、果期には肉質になり食べられる。果柄の先の核果は径約7mmの球形で褐色の毛が多い。
名前の由来:全体に毛が多いこと。果柄の一部が肉質の棒状に肥厚して手に見えることから「手棒(テボ)」。実が甘くナシの味がするため「手棒梨」と呼び、それがなまってついたと言われている。 日本固有種 |